賃貸マンションやアパートに住んでいて、備え付けの便座が古かったり、温水洗浄機能が付いていなかったりすることに不満を感じる方は多いでしょう。毎日使う場所だからこそ、最新の快適な設備を使いたいと思うのは当然の欲求です。しかし、賃貸物件での設備交換には、持ち家とは異なる独自のルールとマナーが存在します。まず大原則として理解しておくべきなのは、退去時の「原状回復義務」です。自分で新しい便座を取り付けることは多くの場合許容されますが、退去する際には必ず元の状態に戻して返却しなければなりません。そのため、取り外した古い便座や、それに付随するネジ、ナット、パッキン、説明書などは、一式すべてを大切に保管しておく必要があります。小さなワッシャー一つ失くしただけで、退去時に高額な部品代や手数料を請求される可能性があるため、袋に入れて中身を明記し、押し入れの奥などに保管しておきましょう。作業を始める前に、管理会社や大家さんに一言相談しておくことも非常に重要です。契約内容によっては、勝手な設備変更を禁じている場合もあります。「退去時に必ず元に戻す」という条件付きで許可が出るのが一般的ですが、事前に承諾を得ておくことで、万が一作業中に水漏れなどのトラブルが発生した際の手続きがスムーズになります。また、賃貸物件のトイレはスペースが限られていることが多く、特にタンクのないタンクレストイレや、壁に操作パネルが埋め込まれているタイプの場合、素人が手を出すのは非常に危険です。一般的なタンク式トイレであれば比較的容易ですが、それでも給水管が特殊な形状をしていたり、壁の中に隠れていたりする場合は、無理に作業を進めず、専門の業者に相談することをお勧めします。自分の判断で配管を加工したり切断したりすると、原状回復ができなくなり、多額の賠償責任を負うことになりかねません。取り付け作業においては、壁や床を傷つけない工夫も必要です。賃貸物件では、壁に穴を開けてリモコンを設置することは基本的にNGです。リモコン式の便座を選んだ場合は、トイレットペーパーホルダーに共締めできるタイプのリモコンプレートを利用するか、強力な両面テープで固定するなど、跡が残らない方法を選びましょう。また、電源コンセントがトイレ内にない場合、廊下から延長コードを引いてくるのは見栄えが悪いだけでなく、ドアにコードが挟まって断線し、火災の原因になることもあります。このような場合は、大家さんに費用負担の相談をした上でコンセントを増設してもらうか、電池式のポータブルタイプを検討するなどの配慮が求められます。自分の快適さを追求する一方で、あくまで「借りている部屋である」という意識を忘れずに、慎重に作業を進めることが、円満な賃貸生活を送るための知恵となります。丁寧に扱えば、新しい便座は日々の生活に大きな潤いを与えてくれる素晴らしい投資になるはずです。
賃貸物件で便座を自分で交換する際の重要事項