私が中古マンションを購入してリノベーションに踏み切った際、最大の障壁となったのが目に見えない場所に隠れていたトイレ配管の存在でした。内見の時には気づかなかったのですが、実際に解体作業が始まると、我が家のトイレは壁排水方式であり、しかも配管の高さが床面からかなり高い位置に設定されていることが判明したのです。憧れていたタンクレストイレを設置しようとしたのですが、配管の位置が合わないため、そのままでは設置が不可能だという現実に直面し、目の前が真っ暗になりました。設計士の方からは、トイレ配管の勾配を確保するためにトイレ全体の床を一、二段高くする「段差解消工事」を提案されましたが、それではバリアフリーの夢が絶たれてしまいます。私たちは何度も打ち合わせを重ね、最終的には配管を隠すためのキャビネット付きトイレを選び、壁の内部で複雑に曲がりくねったトイレ配管を最新のジョイント部材で繋ぎ直すという大掛かりな手法を選択しました。工事中は配管の接続部から少しでも水が漏れれば階下の方に多大な迷惑をかけてしまうという恐怖心から、何度も職人さんに確認を求めてしまいましたが、プロの確実な手捌きによって無事に完成を迎えることができました。この経験から学んだのは、トイレの見た目を変えるのは簡単でも、その裏側にあるトイレ配管の制約を超えるのは至難の業だということです。これから中古物件のリフォームを考えている方は、設備のデザインを決める前に、必ず床下や壁裏にあるトイレ配管の状況を確認し、プロの診断を受けることを強くお勧めします。配管の現状を知ることは、リノベーションの自由度を知ることに他ならず、その一歩を疎かにしないことが、最終的な満足度を大きく左右するのです。快適な住環境は、こうした目に見えない配管への細やかな配慮によって作られており、特に排泄というプライベートな行為に関わる音の制御は、住人同士の良好な関係を維持するためにも欠かせないマナーの一部となっています。
中古マンションで遭遇したトイレ配管工事の体験記